第3話(#15) クロス・システム

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ライトノベル

  • 1

    「カナガワエリア最大級」と貼り紙が出された、テナントビルの最上階。10セットを超えるジャパンカップジュニアサーキット(JCJC)がつなぎ合わされたコースを、二台のミニ四駆が走っている。《バーサス》上ではない。リアルのミニ四駆コースである。ス…

  • 2

    「あれ、早乙女ずは?」放課後の生徒会室を見回して、あゆみは言った。「今日からしばらく休ませてほしいって。自分たちなりに準備するから大丈夫、ってたまおちゃん言ってたけど」「何でしょうね……」部の備品、そしてルナの私物の《バーサス》端末が机の上…

  • 3

    《バーサス》内の時計は、ログインした場所の現地時間に合わせて設定される。日本時間の午後五時。テストコースとして開放されているカタロニア・サーキットの夕日は大きく傾いていた。ヘッドライトを灯して、一台のGTカーがいく。ロングノーズに描かれたオ…

  • 4

    深いため息とともに、たまおは《バーサス》のバイザーを外した。端末のロックが外れ、コペンのボディが暗めの照明にさらされる。カウンター席だけの小さなバー。その店内に似つかわしくない、棚に積まれたパーツの山、《バーサス》システム一式、そして女子中…

  • 5

    「うーん……」たくみはホビーショップ「インジャン・ジョー」のミニ四駆コーナーで腕を組み、積み重ねられたキットの箱を凝視していた。一つに手を伸ばそうとして、止める。しばらく間が空き、また手を伸ばして抜き取ろうとするが、途中でとめて押し戻す。「…

  • 6

    《バーサス》のネットワークは24時間、常に解放されていて、日本だけでなく世界中のミニ四チューナーが《バーサス》端末を通じてマシンを走らせられるようになっている。それだけでなく、スマホやPCから閲覧モードでログインして、他のチューナーが走らせ…

  • 7

    《バーサス》にたまおとたくみ、それぞれがログインする。たまおの端末は《ホーネット》から借りたもの、たくみの端末は店舗に備え付けのもの。そしてジャッジ役として、凛もショウナンナンバーズ所有の端末を持ち込んでログインしている。「よし、じゃあ約束…

  • 8

    「同着……」そんなことがあるのか。瀬名アイリーンはひとり厳しい表情を浮かべて、《バーサス》に接続したPCを眺めていた。と、デスクの隅でスマホが震え始める。アイリーンは手に取って、画面をスワイプした。「瀬名、《バーサス》の《サークル1》、見て…

  • 9

    「しっかし、さっきの《クロス・システム》って何だったんだ?」《バーサス》を片付けながら、凛が聞く。「わからない」「何だろうな、気が付いたら言ってた」たくみとたまおはお互いを見て、首をかしげる。「まー、何にせよ、デクロス2台が加わったら、お前…

 

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