SECTOR-FINAL:AYUMI-3

一番になろう! 誰よりも速く、誰よりも強く、誰よりも美しく!
いこう、《すーぱーあゆみんミニ四チーム》!!

「忘れ物ない?」
ロビーにそれぞれの荷物を並べて、チェックアウトの手続きを済ませた。費用はルナのお母さん……どんな立場の方なのかは考えたくないけど……が負担してくれた。情けない!次にやるときは、学校の部費でまかなえるように、どうにかしたい!
「涼川さん、ありがとうございました」
小田原ゆのちゃんが深々とお辞儀する。同い年のコにそこまでされると、あたしの方が何か悪いことをしてるような気にさせられる。
「いえいえ。次は、じゃあ《選手権》の予選だね」
「はい! 会場であいさつさせて下さい」
「うん。《チーム・メリーゴーランド》が決勝に出られるといいね」
領収書をもらったルナがやってきて、全員が揃った。うまく言えないけど、みんなの距離が近くなったみたい。こう、横に広がったときの幅が昨日までよりも、せまい。
「じゃ、部長、いきますか」
会長の言葉を合図に、それぞれの荷物に手を伸ばす。
「ぜひ、あの、涼川さんたちも決勝に行ってほしいです!……そういえば、みなさんはチーム名はつけられてるんですか?」
小田原さんの問いかけに答えようとしたとき。
「「「「はい!」」」」
四人が一斉に答えた!
「え、あたし、まだ聞いてないけど、いつのまに?」
「それぞれに考えたんだけど、ボクらひとつしか思い付かなかったんだよ」
「だから、もう、それがいいんじゃないのかなって」
「いずれにせよ、4票入ってるから」
「賛成多数」
お互いを見て、なんだかウフフフ笑ってて、ちょっとくやしい。
「で、何に決めたのよ」
「それは……」
すーぱーあゆみん!ミニ四チーム!
……は?
「ちょっと、なによ、それ! このチームは、あたしだけのものじゃないのよ?」
会長が一歩、前に出る。
「確かにそう。でも、私たちはあなたに誘われて、あなたを信じて、あなたと一緒に何かをやりたい、続けたいと思って集まった。だから、私たちは、あなたの名前で出場したいと思ったの」
「そんな……」
みんなの視線があたたかくて、でも辛い。
と、不意に拍手が響いた。小田原さんだった。
「すごい! めっちゃいいですよ! 《すーぱーあゆみんミニ四チーム》! わたしはいいと思いますよ!」
「そうかな……」
拍手が大きくなる。たくみが、たまおが、ルナが、会長が、拍手を始めた。もう、恥ずかしいことをするんだから……。瞳から溢れそうなものを、手でぬぐった。
「わかった! いいわ! トゥインクル学園ミニ四駆部、
《すーぱーあゆみんミニ四チーム》! いくわよ!」