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「しっかし、さっきの《クロス・システム》って何だったんだ?」

《バーサス》を片付けながら、凛が聞く。

「わからない」
「何だろうな、気が付いたら言ってた」

たくみとたまおはお互いを見て、首をかしげる。

「まー、何にせよ、デクロス2台が加わったら、お前らのチームもけっこーやれるようになるはずだ」
凛は二人の肩をたたいた。

「頼むぜ。俺だって、あの全国の、すげー雰囲気のなかでやりたかったんだからさ」
「藤沢さん……」

意外な言葉に反応できないたまおの頭を、凛は平手でポンと叩いた。

「よーし、じゃあお前らの関係修復を祝して、握手でも」
「やーだーよ!」
「そんなさー、こういうのは最後の締めが大事なんだよ」
「断る」
「おいおい、つれねーなー! こう、ギューッといったらいいじゃん」
「やだ」
「ぜったいやらねー」

三人のじゃれ合いは、しばらく続くこととなる。が、まだ、たまおの《バーサス》はログインしたままで、会話のすべてがネットワーク上に拡散していることに、誰も気づいてはいなかった。