Sector-5:AYUMI-2

いくよっ、《ミニ四駆選手権》参戦体制発表会!
と、早乙女ズとのレース、舞台は富士で。

「それでは、午後の部活アピールタイムです。最初は、この7月にあらたに生まれた《ミニ四駆部》です。それではお願いします」

司会のコが話し終わると同時に、正面のスクリーンに《バーサス》の画面を映し出す。あたしはステージ上、スポットライトに照らされた演壇に立つ。

「みなさん、こんにちは。ミニ四駆部部長をつとめてます、2年Z組の涼川あゆみです。
こないだ皆さんに応援していただいたおかげで、こうして正式な部活として活動できるようになりました。この場を借りてお礼します。ありがとうございます。」

深く一礼。

「ミニ四駆部は、お陰さまで部員が3人に増えました。生徒会長としてお馴染みの、恩田奏センパイ」
「お馴染みって!」
「それと、うん、説明はいらないですね。猪俣ルナさん」
「説明してよ~」
「これで、私の念願だった《ミニ四駆選手権》へエントリーすることができました。《ミニ四駆選手権》は、今から……だいたい25年前に第一回大会が開催された、いちばん伝統のある大会です。まずは、来月の神奈川県大会突破が目標になります。マラネロ女学院をはじめ、神奈川には強豪校がたくさんありますけど、この3人なら、必ず、絶対に勝てると思ってます!」

場内からどよめき、そして拍手。この、足元からゾクゾクする感じがたまらないんだな。

「ありがとうございます。今日は、この《バーサス》を使ったデモ走行を観てもらう予定でしたが、急遽、たのもしいチャレンジャーが現れたので、エキシビジョンマッチに変更させていただきます。じゃあ、ふたりとも」

うながされて、早乙女ズが入ってくる。たくみはいかにも緊張した様子。たまおは相変わらず平然としたもんだ。

「1年X組、早乙女たまお」
「お、同じく早乙女たくみです! ボクらは、ミニ四駆部に挑戦する! ボクらはミニ四駆だけじゃなくてプラモをみんなに知ってもらいたい! だからボクらが勝ったら、ミニ四駆部は《プラモ部》に変えてもらうよ!」

瞬間、ブーイングに包まれる場内。
たまらずわたしはマイクをとった。

「落ち着いて! 大丈夫です。……勝ちますから」

スクリーンの《バーサス》が、レースモードに移る。映し出されたのは、富士山。

「よし、はじめよっか!」