3

オオサカ駅からシン・オオサカ駅へは在来線で一駅。すーぱーあゆみんミニ四チームの面々は、理由もわからぬまま、いそいそと列車に乗り込んだ。あゆみは遠くを見つめて何も語ろうとせず、奏は相変わらず、警戒するようにあたりを見渡している。その様子に、ルナ、たまお、たくみの三人は首をかしげるしかなかった。

「あっ……!」

シン・オオサカ駅に降り立ち、新幹線の改札を目の前にして奏が声を上げた。

「会長、なんですか?」

たくみが、落ち着かなさへの不信感を、隠そうともせずに言う。

「忘れ物、でもしたとか」

たまおは淡々と告げる。

「……たぶん」

「何をお忘れに? もしかして……マシン? まさかそんなことはありませんよね?」

ルナは、苦笑しながら恐る恐る尋ねた。

「……たぶん」
「ええっ!」

やや気の抜けていたあゆみも、声をあげて驚く。

「どーすんですか? 新幹線のチケット、《財団》から渡されたお金で、指定席券も買っちゃいましたよ?」
「ごめん、私だけホテルに戻るから、みんなは先に帰ってて」
「そんな……」

全員が押し黙る。天井から、指定席をとった新幹線の発車が近いことを告げるアナウンスが聞こえてくる。

「わかった」

あゆみが言った。

「会長、あたしが一緒に行きます。ルナちゃんと早乙女ずは、予定通り指定席で帰ってよ」
「でも……」

たくみが眉を寄せる。構わず、あゆみは財布から切符の束を取り出し、二枚だけ抜き取ると、残りをまとめてたくみに手渡した。

「たくみ、頼むよ」
「そんな、困るよ」
「大丈夫。さ、会長、急ぎましょう」
「え、いいの?」
「大丈夫です、ほら」
「あっ……あゆみちゃん! 会長!」

ルナが呼び止めようとするよりも早く、二人の姿は、今きたばかりの在来線ホームに消えていく。

「二人とも、どうしたのかしら……」
「あゆみは多分、さっき瀬名さんや上位ランカーと話をしていたから、それが原因でしょう。何の話かはわからないですけど、挑発されて神経質になってるんじゃ」

ルナの問いに答えながらも、たまおは新幹線の改札へ向けて進み始める。出遅れたたくみが、小走りに追いかける。

「じゃあ、会長は何なんだろ? 朝からずっとキョロキョロしてて、何が原因だかさっぱりわかんないよ」

追いついたたくみが、乗車券と特急券を二人に配る。余りが数枚あったが、領収証という文字が見えたので構わず、バッグのポケットに突っ込んだ。