SECTOR-4:RUNA-1

スシ……ニッポンの生み出した文化の極み……。
そう思いませんこと? スシを思うともう、何も聞こえませんわ……。

「えー、ご歓談中失礼致します。みなさん、予選通過おめでとうございます。事務局を代表してお祝い申し上げます」

天井からアナウンスが聞こえてきたので、私はスシを食べる手を止めました。

「ここで、午後の決勝レースの進め方について改めてご説明いたします。
決勝レースはこのあと午後1時からスタートする耐久レース、時間は八時間です。八時間での周回数がもっとも多かったチームが優勝です」

1時からスタートして、八時間ってことは夜の9時。おなかがすいてしまいますね!もっとスシを食べておかないと。

「マシンは各チーム1台です。モーターはノーマルのみ、バッテリーは事務局が用意したもの32セットを使ってもらいます。万一すべてのバッテリーを使いきった場合、3周のペナルティを受けることで追加のバッテリーを使うことができます」

スシって海の魚と田んぼのご飯をくっつけて食べるってのが、やっぱり素晴らしいと思うの。マグロなんて遠くの海まで獲りにいくんでしょ?

「スペアパーツは各部品に付き1台分持ち込むことができますが、ボディとメインシャーシについては交換できません。スタート時に装着したものをそのまま使ってください」

わたしは意外と、アジとかイワシみたいな、ピカピカしててみずみずしいのが好みかな。でもシメサバは酸っぱすぎてちょっと遠慮かな。うん。

「また、ピットからマシンへの通信は原則としてオープンにします。ただし、他のチームに対して呼びかけたり、協力を求めるような通信はできません。作戦についてはよく考えていただけますよう、お願いします。」

でもね、やっぱりサーモンは邪道です! 確かにおいしいけど、お寿司としてはよろしくないですね。あれはお子様が食べるもの。私はご遠慮いたしますわ。

「なお周回数にかかわらず、八時間たった時点でコース上に残っていたマシンを完走扱いとします。
この八時間耐久レースの優勝チームが、カナガワ地区代表として《ミニ四駆選手権》決勝大会に進むことができます。みなさん頑張って下さい」

んー、でも玉子は好きかな~。黄色いボディに黒いバンド。なんだかフェスタジョーヌみたい。シャーシは白の限定カラーね。
そんなことを考えてて、大事なことを思い出しました!

「私たち、誰のマシンで決勝を走るのかしら?」

辺りを見回しても、いない。

「あゆみちゃん!」